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眼瞼けいれん (ATVてれび診察室)

2013年12月09日

ATVテレビ診察室 (平成251026日放送)


今日は「眼瞼けいれん」という病気についてお話します。

 

眼科を訪れる患者さん方が「目が開きにくい」という症状をおっしゃる場合、その原因には3つのパターンがあります。1)眼表面への刺激:1つめは「目が痛い・眩しい」など、眼の表面に何かの刺激が加わっている場合で、ドライアイ、ぶどう膜炎、角膜炎、結膜炎などの病気でおこります。2)眼瞼下垂:2つめは「瞼を開く筋肉がうまく働かなくなる」場合で、「眼瞼下垂」という病気です。3)眼輪筋のけいれん:3つめは、瞼を閉じる筋肉が働きすぎる(けいれんする)」場合で、これから説明する「眼瞼けいれん」と「片側顔面けいれん」が含まれます。


眼瞼けいれんについて詳しくお話していきましょう。

Jost W :ボツリヌス療法アトラス.医学書院)のように、目のまわりには眼輪筋という目を閉じる筋肉があります。「眼瞼けいれん」は、この眼輪筋が自分の意識に従わず、過剰に収縮してしまう病気で、ふつう両側におこります。


 

眼瞼けいれんのほとんどは原因不明

 

この病気は、約80%は「本態性」つまり原因不明ですが、大脳基底核という脳の深い部分の異常であろうと考えられています。他に「薬剤性」や、パーキンソン病の症状として出る場合があります。特に注意したいのは、抗うつ薬や抗不安薬を服用している方に眼瞼けいれんがみられ、薬の中止により症状が改善することがあるということです。つまり、これらの薬が眼瞼けいれんの原因と考えられる例があるということです。

 

ドライアイと紛らわしい初期症状

 

眼瞼けいれんの症状ですが、はじめはから患者さんが「瞼がけいれんする」と訴えることは少ないものです。むしろ、「なんとなく不快だ」「ごろごろする」とか、南部弁で「目がイヅイ」といった違和感、そして「眩しい」、「目が乾く」といった症状が多いのです。そのため、眼瞼けいれんと診断される前には他の病気、とくに「ドライアイ」と診断されていた患者さんが少なくありません。

やがて「瞼のけいれん」を自覚するようになり、「開瞼困難」つまり「目が開けにくい」という状態になります。さらに進行すると、他の顔面の筋肉にもけいれんが広がり、皺が増えたり、眉が下がったり、口のまわりの筋肉がけいれんする場合があります。

眼瞼けいれんの患者さん方がどんなに困っているか、それがよくわかるアンケート結果があります。患者さん方に歩行中のトラブルについて複数回答で尋ねた結果ですが、多くの方々が「電柱や物にぶつかる」「人にぶつかる」といった経験をしておられます。また「事故やケガ」を経験したり、そのために「外出を控えている」という方もおられます。

患者さんの年齢ですが、40歳から70歳代に多く、また女性が男性の2〜3倍と明らかに女性に多い病気です。日本にどれくらいの患者さんがおられるのか、まだ十分な調査は行われていません。欧米のデータではおよそ人口1万人に1人という報告がありますが、実際にはもっと多いと考えられています。

 

ボトックス療法


次に治療についてですが、眼瞼けいれんの治療の第一選択はボツリヌス毒素(商品名ボトックス)の注射です。これはボツリヌス菌によって作られる神経毒素ですが、眼瞼けいれん、後で述べる片側顔面けいれん、痙性斜頸などの治療薬として使われています。その他に、ボツリヌス毒素の効果が不十分な例に対しては、手術が行われることがあります。

 

ボツリヌス毒素は神経に結合して、神経から筋肉への伝達物質であるアセチルコリンの放出を妨げます。つまり注射部位の筋肉を麻痺させるわけです。薬の効き目は高く、眼瞼けいれんの場合約80%で有効です。ただし効果が持続するのは通常34か月ですので、追加投与が必要になります。

実際に注射の場面では、けいれんしている筋肉へ局所注射を行います。できるだけ痛くないようにインスリン注射と同じ30Gの細い針を使い、出血させないよう慎重に注射しています。

副作用は効きすぎによる麻痺

 

ボツリヌス療法の合併症についてですが、眼瞼けいれんの治療の場合は、投与量が少ないため、全身的な合併症はほとんどありません。眼の局所における合併症は約10%と報告されています。薬が効きすぎて瞼が閉じにくくなり、そのために眼が乾いてしまうことがあります。

また、薬が眼輪筋より深い部位にある筋肉に作用して、「眼瞼下垂」つまり瞼が上がらなくなったり、眼球の運動が障害され「複視」つまりものがだぶって見えるようになることがありますが、いずれも時間とともに自然に回復します。

 

 

眼瞼けいれん vs ミオキミア

 

眼瞼けいれんと見分けるべき病気についてもお話ししておきましょう。

(貴方も瞼がピクピク動いて気になったことはありませんか?)

患者さん自身が「瞼がけいれんする」と訴える場合の多くは、「ミオキミア」といって、瞼の一部の筋線維がピクピクと細かく震える状態です。眼瞼けいれんと違って、瞼の開け閉めが障害されることはありません。治療法もありませんが、自然におさまるので心配ありません。 

「眼瞼下垂」は瞼を開ける筋肉の働きが障害された状態です。先天性、加齢性(腱膜性)、神経麻痺、筋無力症などの原因でおこりますが。特に筋無力症に対してボツリヌス毒素は禁忌ですので、見間違えないように注意しなければなりません。

 

「片側顔面けいれん」は、顔面の片側の筋肉にけいれんを生じる病気です。脳から出た顔面神経の根元が血管に圧迫されて、神経が異常に興奮をすることが原因と考えられています。通常は眼瞼のけいれんから始まり、進行すれると頬・口のまわり・下顎へと広がっていきます。

片側顔面けいれんの治療は、脳外科手術が根本的な治療となりますが、その手術成績は術者によりかなり大きな差があるとも言われています。

現在では、手術のリスクを考慮して、ボツリヌス療法を選択する方が多いようです。片側顔面けいれんに対しても、ボツリヌス療法の有効性は約90%と良好です。


今日はボツリヌス療法を中心に「眼瞼けいれん」と「片側顔面けいれん」についてお話しました。あいにくボツリヌス毒素注射は取扱いに色々な制限があって、資格をもった医師でなければ使うことができません。しかし大変に有効な治療法ですので、お困りの方はまずお近くの眼科で相談してみてください。



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