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医療費抑制の流れの中で

2014年05月20日



4月から消費税が8%に引き上げられました。さらに2015年には10%に引き上げられる予定です。社会保障の充実を大義としての増税ですが、これで日本の社会保障が安泰とはとても言えません。私たちが世界に誇る国民皆保険制度は医療費の急増という内圧によって破綻の危機にあります。


人口の高齢化により日本の社会保障費は膨らみ続けています。2012年の社会保障給付予算は109兆円でしたが、団塊世代が75歳以上となる2025年に社会保障給付は140兆円と推計されています。このうち年金は54兆円から60兆円への増加、医療給付は35兆円から54兆円へと2倍近くに膨らむと見込まれています。しかし歳入はというと、長期にわたった経済の低迷と勤労世代の人口減少のため、主たる財源である社会保険料がほとんど増えていません。この赤字を補うために多額の公費が投入されており、2013年の一般会計予算における社会保障関係費は29兆円(予算全体の40%)に達します。 


昨年8月に発表された「社会保障制度改革国民会議」の報告書は、「社会保障関係費が増大する中で、それに見合った税負担がなされておらず、その不足分を赤字国債で補っている状況であり、消費税が増税された後でもこの構造が解消されるわけではない」と指摘しています。すでに債務残高がGDP2倍以上という国家財政を考えれば、さらなる赤字国債の増発ができるはずもありません。


後の世代にこれ以上の負担をつけ回しすることなく社会保障を維持していくためには、「財源の確保」と「給付の見直し」が必要です。先の国民会議報告書は、まず財源について「これまでの『年齢別』から『負担能力別』に負担の在り方を切り替え、資産を含めて負担能力に応じて負担する仕組みへとしていくべき」と述べています。しかし各論の「医療保険制度改革」においては、「国民健康保険の財政基盤の安定化が優先課題」としながらも、その具体策としてあげていたのは、国民健康保険の財政運営を市町村から都道府県への移行、保険料の賦課限度額の引き上げなど、従来の枠組みを超えるものではありません。このままでは近い将来、さらなる増税が(目的税化するとしても)避けられないように思われます。


一方、国民会議報告書は「医療・介護サービスの提供体制改革」と題して、給付体制の在り方について重要な提言をしています。その内容については、本誌3月号で瀬尾副会長が詳しく紹介して下さいましたので重複は避けますが、この提言で示された「かかりつけ医」の普及と「在宅医療ネットワーク」の構築という方向性は社会的需要に沿った改革として評価できると思います。


今後、行政の動きとして予想されるのが公的保険の対象範囲の見直しです。当然のことながら日本医師会は「給付の範囲を狭めないこと」を主張しています。一方、混合診療解禁に反対する中で「有効かつ安全な先進医療は保険適応に加えていくべき」と主張しているわけですが、二つの両立は経済の成長期であればこそ可能だったことです。しかし高齢化と人口減少が進む今、医療費の膨張を抑制しながら公的保険の給付を拡大することが果たして可能でしょうか。むしろ軽医療の免責といった形で給付が見直される可能性があります。「国民皆保険の維持」という大目標のためには、私たち医療者は医療費の無駄を削減することに協力すべきと思いますが、それと同時に、行き過ぎた医療費の抑制が社会全体の医療水準を低下させないよう、論理的な主張を展開していく必要があります。


(八戸市医師会のうごき 平成26年5月号 巻頭言)


 
 
 
 
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