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賭博も医療もグローバル?

2015年04月25日

  超党派の議員が画策している「カジノ法案」は今国会への提出が見送られそうである。しかし、安倍政権は「カジノを中心とする統合型リゾート施設」を成長戦略の目玉のひとつとしており、統一地方選挙の後にも再び法案提出が見込まれている。観光収入、地元雇用、税収の増加を期待して誘致に名乗りを上げる自治体がある一方、解禁後の「ギャンブル依存症」増加が危惧されている。韓国では2000年、自国民も利用できる唯一のカジノとして「江原ランド」がオープンしたが、ギャンブルで破産した客がホームレスとなり、周辺地域では犯罪が増えて治安が悪化、人口も減少しているという。

 モナコの国営カジノのように自国民を入場禁止にすれば良さそうなものだが、これからマカオ、シンガポールの後を追ってもすでに周回遅れ。日本では外国人観光客中心のビジネスモデルが成り立つ見込みはない。もとより日本にはカジノ経営のノウハウがないため、グローバル資本(即ちラスベガス)の参入をあてにしている訳だが、彼等ははじめから日本人の懐だけで十分儲かると見込んでいるのだ。

 このカジノ構想に限らず、現政権が語る成長戦略の中にたびたび現れる文言が「海外資本の参入促進」である。それを実現するための受け皿づくりとなるのが「国家戦略特区」だ。

 「東京圏」「関西圏」の特区計画を見ると、政策課題の第一に「グローバルな企業・人材・資金の受け入れ促進」をかかげ、医療分野では外国人医師・看護師の業務解禁、病床規制の特例による病床新設・増床の容認、保険外併用診療の特例などが挙げられている。しかし、特区の内容はこれに限定されるものではない。今後も病院経営への営利企業の参入を求める動きは止まず、その影響はいずれ日本全国へ波及するだろう。

 日本医師会はこの特区構想に対して「日本の医療制度を根底から揺るがしかねない多くの問題を含んでいる」と認識している(特区の現状と課題および対応について:日本医師会2014318日)。とくに株式会社による病院経営への参入に対しては、1)営利目的のために過剰診療を行い、不採算部門・不採算地域から撤退するので地域医療の継続性を確保できない 2)所得によって受けられる医療に格差が生じる 3)混合診療全面解禁への布石、ひいては国民皆保険の崩壊につながるとして、強く反対してきた。

 だが、従来の特区構想においては関係省庁が関与し得たのに対して、国家戦略特区は内閣府からのトップダウン方式で決定されるのでロビー活動が通用しにくい。そもそも現政権の「医療を成長産業として海外投資家を呼び込む」という方針は、われわれ医師会の主張とは全く相容れないものである。

 2年前に本誌上で「TPP交渉への危惧」を述べた時点では、日・米両政府とも「医療制度はTPP交渉のテーマではない」と語っていたのだが、じつは日本政府が自ら特区という形でTPPの前倒しを図っていたというわけだ。

 個人的に私は、混合診療の拡大や保険給付の見直しはやむを得ないと考えている。日本の医療の中核を担ってきた国民皆保険制度だが、その財源確保については難問山積である。しかし国民の健康を商品としてグローバル資本に売り渡してはいけない。それとも皆さんは、患者も医師も保険会社に支配されるアメリカ式医療をお望みだろうか?

 

(はちのへ医師会のうごき・平成27年4月号巻頭言)


 

 

 

 
 
 
 
 
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