松橋眼科クリニック

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緑内障手術

緑内障とは

緑内障とは
  • 緑内障は視神経の障害によって視野が狭くなったり、部分的に見えなくなったりする病気です。いちど障害された視神経は回復することはありません。
  • 緑内障の主な原因は眼圧です【図】。どれだけ眼圧が高ければ視神経が障害されるのか、これには個人差があり、日本人では眼圧が高くなくても視神経が障害される「正常眼圧緑内障」が最も多いと言われています。
  • 緑内障の治療は眼圧を下げる点眼薬が中心です。内服薬は急いで眼圧を下げる必要がある場合に用いられますが、長期間にわたる治療には適しません。
  • 点眼薬で充分に眼圧が下がらない場合、副作用などのために点眼薬を使いにくい場合には、レーザー治療または手術が必要になります。

緑内障手術の目的

  • 視神経障害の進行を抑えるために眼圧を下げることが緑内障手術の目的です。視力や視野を回復することではありません。
  • 代表的な手術法である「繊維柱帯切除術」の術後5年での成功率は、原発開放隅角緑内障では70%、正常眼圧緑内障では40%位です。

スケジュール

予約 手術が必要であれば、まず予約をしていただきます。当院では火曜日の午後が手術日です。
付き添い 通常は付き添い不要ですが、片眼を失明している方や、身の回りことが独りでできない方には付き添いをお願いいたします。
手術当日 2~3時間前に来院していただき、手術の準備を始めます。手術は30分位で終了し、手術室に入ってからの所用時間は45分程度です。
術後 手術1週間後までは毎日~1日おきに、1週間~1ヶ月後までは1週間毎に診察を行います。白内障手術よりも頻繁に受診していただかねばなりません。

術前検査

  • 眼科学的検査の他に、手術に必要な血液検査と心電図検査も行いますが、他院での検査結果や健診の結果があれば代用できる場合もあります。
  • 全身病のある場合や検査で異常が見つかった場合には、主治医と相談し、また未治療の方は病院へ紹介して手術の適否を判断します。

白内障との同時手術

  • 白内障を合併している方には、白内障の同時手術をお勧めすることがあります。
  • なぜなら緑内障手術後に白内障が進行することがあるからです。また白内障手術によって眼圧がより下がりやすくなります
  • 白内障手術の詳細については「白内障手術を受ける方へ」をお読み下さい。

手術前の注意

  • 手術前に体調が悪くなった場合には主治医にご相談いただき、手術を延期する場合には、すみやかに当院へご連絡下さい。
  • 常用しているお薬は手術当日も服用を続けていただきます。入院中に薬が不足しないようご持参下さい。まれに数日前から薬の服用を休んでいただく場合もあります。不明な点は医師におたずね下さい。
  • 手術当日は化粧をしないでお出で下さい。

手術方法

前処置 手術室に入る前に血圧を測定し、点滴注射で血管確保し、点眼薬で麻酔します。
入室 手術台に上がったら血圧・心電図モニターをつけ、眼を消毒液で洗浄し清潔なカバーをかけます。
麻酔 眼の周りに麻酔の注射をしますが、顕微鏡の照明や、まぶたに触れる感じはわかります。
結膜切開 くろめの上方結膜を切開します。
繊維柱帯切除 繊維柱帯切除 眼内の水(房水)の出口にあるフィルター様の組織(繊維柱帯)を一部切除して、房水が眼外(結膜の下)にしみ出るようにします。
【図矢印】
縫合 房水が結膜の外に漏れないよう縫合します。

手術中の注意

  • 手術中には不用意に動かないで下さい。思わぬ事故につながることがあります。身体を動かしたくなったり、咳が出そうになったら、その前に申し出てください。
  • 痛いと思ったら我慢しないで教えて下さい。麻酔を追加します。
  • 途中で尿意を覚えたら我慢しないで申し出て下さい。手術の途中でも処理はできます。

手術後の注意

術当日 病室に移り、点滴が終了するまで約30分安静にしていただきます。トイレや食事は通常どおりで結構です。日帰りの方は全身状態の安定を確認し、術後の通院と薬の説明をしてからお帰りいただきます。
術翌日 翌日の診察後はご自分で点眼薬を点眼していただきます。傷の汚染や打撲を避けるよう注意して下さい。
保護眼鏡 術後約2週間は眼帯または保護用のゴーグルをつけていただきます。ご自分の眼鏡を使用する場合には、医師・看護師にご相談下さい。
入浴・洗髪 術後3日目までは周りを拭くだけにして下さい。4~7日目には眼が汚れないよう(フィルム眼帯を使用して)注意すれば入浴できます。片眼も不自由な方は無理をしないで下さい。1週間後からは普通に洗顔・洗髪して結構です。
仕事・スポーツ 術後4日目からは軽い家事が可能です。1週間目からは軽い運動、車の運転が可能です。園芸、農作業、水泳などは1ヶ月以後にして下さい。

患者さんの自己判断で通院や薬を中断しないで下さい。

手術のリスク(合併症)

緑内障手術では術中・術後に合併症が起きるリスクが比較的高い(白内障手術に比べて)ことを、予めご承知いただかねばなりません。

低眼圧 緑内障の手術の目的は眼圧を下げることですが、下がりすぎても眼の機能が低下する恐れがあります。
前房出血 手術中の軽度の出血は術後数日で自然吸収されます。
駆出性出血 手術中に突発的におきる脈絡膜からの出血で、頻度は0.15%とまれですが、いったん発生すると手術の続行は不可能です。後日、再手術が行われても良い視力を得られないことが多いです。
遅発性眼内炎 術後に長期間経過してから、薄くなった結膜から細菌が侵入して起こります。発症率は1.3%/年と報告されており、重症例では失明の恐れもあります。
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